ゲームが好きな子ども、保護者としてのゲームへの付き合い方

■子ども時代 無関係ではいられないゲームの話

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近年TVゲーム、携帯ゲーム機、スマートフォンゲームは広く普及してきました。筆者が働いていた児童施設では、多くの子どもが3DSニンテンドースイッチのゲームに夢中でした。

現在新型コロナウイルスの影響で「子どもの外遊び」が大きく制限されているのかもしれません。

当ブログで以前、小学生が休校期間だった時期に集計したアンケートではこのようなデータも出ていました。

 

コロナ禍の休校期間中、子どもは何をして遊んでいましたか?

【アンケート結果】コロナ禍の休校期間中、お子さんは何をして遊んでいましたか?

集計期間:2020年4月7日~4月14日 集計方法:

milltalk.jp

最近では保育園や幼稚園の頃からゲームに触れる機会のある子どももいるようです。けれど、親として悩むところでもありますよね。ゲーム機を買ってもらっている子どもがいる反面、「うちはゲーム禁止」というご家庭もありました。

「子供がゲームばかりしていたら困る」
「勉強をしないのでは?」
「いつから与えてもいいのかな」
「ゲームを持っていないと仲間外れにされてしまう?」

このような不安を抱えてらっしゃる方も多いようです。今回の記事ではゲームを与えるうえでのメリット・デメリットとともに、今までに行われた研究をふまえて「子どもにゲームを与えてもいいのか」というお話をしたいと思います。

■そもそもゲームは何故悪いイメージを持たれがちなの?

楽しいコミュニケーションツールになり得るゲームですが、「ゲームばかりしていると、ゲーム脳になる」こんな話を聞いたことはないでしょうか?

ゲームが子どもに悪影響を及ぼすという研究や意見は数多くあります。しかしその理論を多くの人が知ることになったキッカケが、2002年に刊行された森昭雄氏の著書『ゲーム脳の恐怖』です。

この本は著者の開発した脳波計をもとに実験を行った結果を主張するものでした。中でも、【テレビゲームに熱中している人間の脳は痴呆患者と同様であり、全く活性化していない】と述べています。

しかしこの実験と検証には不確実なことも多く、賛否両論がありました。ですが、メディアはこれを大きく取り上げ「ゲーム=悪」という構図ができる一端を担ってしまったといっても過言ではないでしょう。

■親の不安 疑問に少しのアドバイス

子どもたちは日々遊び、成長をしていきます。体を動かす遊び、楽器の演奏、本を読む、友達と遊ぶなど身体能力や情緒を発達させる時間というものは、将来の子どもに大きな影響を与えます。そのため、ゲームをすることでそれらの大事な時間が失われてしまうのではないかと危惧されることも多いのです。

しかし、先ほど書いたような「勉強をしないのでは?」という問いには「やることを先に終わらせる/ルールを決める」などの対策も立てることができますよね。

けれどなかなか子どもにルールを守ってもらうことは難しいです。それにかかる保護者の負担も大きくなってしまうことから、「ゲーム禁止」が生まれてしまうケースもあるようです。

 

先述の「ゲーム脳になったらどうしよう」という不安について、私は「ゲームをするか・しないか」ではなく「どのくらいするか・どのくらいでやめるか」だと思っています。全てを禁止することは、親御さんにとっても子ども自身にとっても苦しい選択なのではないでしょうか。

そして、子ども同士の付き合いの中で「ゲーム」に全く触れないことは今の時代では難しいと考えます。次の項では子どもがゲームを持っているメリット・デメリットについてお話していきたいと思います。

■ゲームを持っているメリット

友達の話についていける(友達の輪に入りやすくなる)ということはよく言われていますよね。しかし、意外なことに様々な研究により、それ以外の良いところも見つかっているのです。

 


■子どもがゲームをする メリット・デメリット

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【子どもがゲームをするメリット】

オーストラリアの大学の研究では、「3~6歳までの子どもでは、格闘ゲームなどをプレイしている子どもの方が、一切ゲームをしない子に比べて運動能力が高い傾向にある」というのです。格闘ゲームは技を繰り出すためのコマンド(例えば十字キー上↑とBボタンを同時に押すなど)を入力する際に素早い判断と動きを求められ、神経回路が鍛えられるとこの研究チームは述べています。コマンド入力は結構難しいので筆者は得意ではありませんが、見事なコマンド入力をする子をみるとすごいなあと感服します。また、この神経回路の発達により、ボールを扱う能力がアップするのだそうです。



オックスフォード大学のAndrew Przybylski博士のが行った研究によると、ゲームを1日1時間以内プレイする子供は、他の子供とゲームをプレイすることで幸福感も得られることができ、社交的である傾向も強いとしています。この検証はイギリスの10歳~15歳の子ども5,000人に対して行われました。結構大規模ですね。

このようなメリットがある反面、やはりデメリットもあります。

 

ゲームの難易度は様々ですが、もちろんとても難しいものもあります。そのため、クリアができず機嫌が悪くなってしまい、家庭でイライラした様子を見せることもあるようです。正直なところこれは大人でもゲームを始めてプレイする人でも体験することかと思います。

また、先ほどの「やることを先に終わらせる/ルールを決める」ということを、なかなか守ることができないことから親子関係が悪くなってしまうこともあります。

しかし、子どもとしっかりと向き合う中で「あなたが楽しく過ごしていることは嬉しい。けれど(勉強をしないと・夜眠らないと)心配だよ」ということを伝えることを伝えられるのであれば、これは大きな問題ともそこまで思うことが出来ません(未熟者の考えですが、叱咤・ご教示いただけることがあればコメントにてよろしくお願いいたします)。

■子どもがゲームをするデメリット

・視力低下のきっかけに
画面を長時間見続けると視力が低下する、というのは半分合っています。というのも、一時的に視力が低下する、というのが正解。けれど、使い方によっては視力に悪影響を及ぼすことを知っておきたいですね。
・姿勢が悪くなる
背中が丸くなりがちなゲーム姿勢……ゲームを子どもに与える際には「こまめに休憩をとり、目を休ませてあげる」「背筋はピンとね!」などの正しいゲームの仕方を教える必要があります。

■親御さんに気を付けてほしいこと


・一貫した対応をする
これはゲームだけのお話ではありませんが、例えば「保育園のころはよくゲームで遊ばせていたが、もうすぐ小学生、勉強をしなくなったら困る」と考えて、「ゲームを制限する側に保護者が回る」ケース。この時の保護者の態度の変化が子どもの心理状態に影響し、影を落とすこともあることも知っておくとよいかもしれません。

■結局ゲームは与えていいの? いつから?


私個人としては、「子どもにゲームを与えても良い」と思います。なぜなら、ゲームでなければ味わえない興奮や、友達との連携プレイ、クリアの喜び…etc、子どもの頃の「楽しい」という感情を今も忘れていないからです。

運動をすること、勉強をすること、友達と遊ぶこと、約束を守ること…どれも大切なことだと思います。

そのなかに、「ゲームをしたい」という子どもの意思があっても良いのではないでしょうか。

 

ですが、最近のゲーム機では、インターネットを閲覧することもできます。写真を撮ることのできるハードもあります。それによって起きたいじめの事件などもありました。

これは、適切な指導がなかったために起きたことだと思います。

ゲームを与えると決めたら、子どもがゲームが原因で嫌な思いをしないように、監督することも必要ですね。

ゲームを与えていい年齢、というものが明記されているものはなかなかありません。大切なことは、ゲームから隔離することではなく、うまい付き合い方を教えることです。

また、そこまでゲームにハマらない子は、飽きたら好きな遊びをしますしね。

 

しかし、あまりにも幼い子どもにスマートフォンやゲーム機を与えてしまうと、親の見ていないところで先述の目に悪い使い方をしてしまったり、意味の分からないまま課金をしてしまったりするケースも報告されているので、注意が必要です。

より良い未来に向かって子どもと付き合っていきましょう。

 

◇参考
https://easiertomorrow.com/1782.html(子供のゲームは何歳から?ゲームのメリットとデメリットから考えよう)
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110000086374.pdf?id=ART0000430287(テレビゲームが子供たちに与える心理的影響-清水圭介氏/椙村憲之氏-)
https://www.huffingtonpost.jp/laxic/gang-age_b_17407232.html(小3〜4年頃と言われるギャングエイジって!? この時期に起きるトラブルと親が取るべき対応とは)
https://papimami.jp/13537/(犯罪を助長する? ゲームが子供の脳に与える影響と適切な付き合い方)
https://dual.nikkei.co.jp/article/110/31/(長時間のデジタル利用は子どもの脳の可能性を狭める)